第1遊具の美形式
Schönheitsformen über 1 Spielgabe




長くなるが、フレーベルが『第1遊具の手引書』に紹介していた、第1遊具の「美の形式」 の一例を記しておくことにする。
『紐に吊したボールを軽く滑らせ、子どもの手から離すと同時に、「ピム、パウム、ピム、 パウム」「ティック、タック、ティック、タック」「あっち、こっち、あっち、こっち」と母 親の口から、ボールの運動を特徴づける。とても簡単なこの遊びは、調子や言葉や、他のもの と結びつけることによって、種々様々の事物に変化する。「見てごらん、坊や、ボールをごら ん、あちらへ、こちらへ、あちらへ、こちらへ」




ボールが静止すると、「ほら、ボールがぶら下がっている」紐でボールをゆっくり持ち上げ たり、下ろしたりして、「上へ、下へ」、あるいは、「上がった、下がった」




ボールを物体、たとえば、横にした片手の上を越えて、揺り動かしながら、「あっち、こっち、 あっち、こっち」、「向こう側に、こちら側に」




あるいはボールの紐を長くして、ある時は手元に、ある時は離れたり、ボールがゆっくりと 揺れるようにして、「近く、遠く、近く、遠く」、「ほら、ボールが来る、ボールが立ち去っ た」、あるいは、「ボールが来た、ボールが離れた」、あるいは、全く一般的に、「来た、行 った」。言葉によってゆっくりした運動を示しながら、「ゆーっくり、ゆーっくり !」ボール を空中で円形にゆっくりと振りながら、「回れ、回れ」、「右に、右に」「左に、左に」




あるいは、子どもの前で硬い平面とか、机の上で、数個のボールで遊ぶ。平面のいつも同じ 箇所にボールを落としながら、「トン、トン、トン」。違った平面の箇所、特に、垂直の方向 にボールを落としながら「タン、トン、トン」




ボールを紐で急に下に落とし、ボールの弾力で再び跳び上がらせながら、「跳べ、ボール跳 べ」、「ごらん、今ボールが跳ぶ」、「跳べ、跳べ、跳べ」




あるいは、短くすばやく引いたり、急な動作を加えたり、ボールに特別な助けを与えたりし ながら、「高く跳べ、ボール」「ボールはもう飛べません、ボールは疲れたボールは眠ってし まった」ボールを机の面から何かの上へ、たとえば、ボールの箱の上に素早く持ち上げながら、 「高みに跳ねろ」あるいは、ボールを素早く持ち上げて、箱の向こうへ越させたり、あるいは、 箱を跳び越えさせながら、「飛び越えよ」




さらに、ボールを、紐を使って、平面上で、水平の方向に、自分の周りを回るように、1つ の中心点で回転させながら、また、回転によって、さらに外面的な運動を模倣しながら、「グ ルン、グルン、グルン」、あるいは単に、廻れ廻れ」




今度は紐でボールを垂直に素早く引き上げ、ぶら下げておいて、静かに、そして、早く、反 復する回転をさせ、今度はもっと内面的な運動を模倣しながら、「クルクルクル」あるいは、 「自転しろ、自転しろ」、「速く、速く」、あるいは、運動の加速度が増していくのを暗示し て、「だんだん速く、だんだん速く」




平面上では、ある時は、右へ、ある時は左への回転が生じ、したがって、紐に引かれたボー ルの回転もまた、ある時は、左にある時は、右に自転する。その場合は、ボールを平面上で引 っ張りながら、「引っ張れ、引っ張れ、引っ張れ」




この時、紐を子どもの手に置くと同時に、子どもと一緒に紐を握り、ボールを引き落とす。 「ガタン、ボールが落ちた」は、いかにも子ども自らの自己活動であるかのようにみえ、実際、 子どもはとてもうれしがるのです。さて、「だんだん広く」と言いながら、中心から外に向か って回すか「だんだん狭く」と言いながら、外から内の方へ回して、ボールを振り回す運動を 空間でしましょう。




以前子どもに円形的な運動を見せたように、今度は螺旋的に広がったり、狭くなったりする 運度も見せましょう。だから、ボールの運動もまた、「外側に長く」とか、「外側に広く」と、 ゆっくりと廻る線、あるいは、軌道ですることもできるのです。
同様に、紐につけたボールを、1本の棒の周りに螺旋状に巻き上げたり、巻き戻したりしなが ら、「だんだん高く」「だんだん深く」




あるいは単に、紐でボールを高いところにゆっくりと引き上げたり、下げたりしながら、 「高く、低く、高く、低く」。今度はボールを紐から外し、平面の上をさらに自由に転がらせ る。「コロコロコロ」「そら、ボールが走る」と、フレーベルは「動きの中の美」を紹介して いる。




 最初に記している「ボール」を時計の振り子のように動かす同じ「遊び」の例でも言葉のリ ズムの違いが同じ動きに別の作用をもたらす。美の形式の「チック、タック」という言葉は 「身体」に、「ピム、パアゥム」の言葉は「心情」(das Gemut)に、「アッチ、コッチ」の 言葉は「精神」に作用するとフレーベルは指摘しているが様々なリズムの言葉で提示して、初 めて、美の形式は真価を発揮すると考えられるであろう。一人ひとりの子どもの「身体」のリ ズムや「心情」のリズムは異なるのだから、母や保育者や子ども自身がアレンジすることを前 提にして、フレーベルは第1遊具の基礎的説明だけをしていることが理解できる。すなわち、 「ボール」の動きに自分の「身体」、「心情」、「精神」を投影し、共鳴すること、「遊び」 という共通体験を共有することが重要だから、フレーベルは一人ひとりの子どもの持ち味に合 わせた提示にこだわったわけである。「ボール」と子どもという対立した事物が共鳴、共感し あうことに「美の形式」は特徴づけられる。だが、同じ色の1個の「ボール」での提示だけで は、自己と「ボール」という対立物の調和活動は不十分であり、色彩の出番がくることになる。 フレーベルは、「だから、だんだんと、ある時は、単体で、ある時は、いろいろに組み合わせ た6個のボールで、指示した6つの色で遊具として子どもに提供する。どんな時期でも、単体 であっても、ボールは子どもに喜んで迎えられるであろう。次に、ボールを、例えば、赤と緑、 青とオレンジなど、異なった色の2つを一緒にして提示する。あるいは、例えば、赤と青と黄 を主要色として、紫と緑とオレンジを中間色、もしくは、混合色として、3つを関係づけて提 示する。同様に、最初の頃は単独のボールであったが、自然に、いわば、自ずから、2つ、3 つ、4つなどのボールの集まりが、できたかのようにして、完結した全体における1つの物体 にして提示し、子どもに一定の形態の予感をもたらすとともに異なる数の理解へと導く」こと を勧めている。ボールの色は、赤と青という対立色と紫の調和色、青と黄という対立色と緑の 調和色、黄と赤という対立色とオレンジの調和色で構成され、赤、紫、青、緑、黄、橙と循環 する輪になるように配慮されている。




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