第1遊具の生活形式
Lebensformen über 1 Spielgabe




フレーベルの『第1遊具の手引書』から、「ボール」を他の事物に見立てる「遊び」を抜粋してみよう。 『様々に考察されてきた子どもの特性と要求に応じて、今やボールは、揺れているボールから、たちまち、 小トリになることができる。「ごらん、小トリが飛んでる。ある時は、あっちに、ある時は、こっちに」。 ある時は、弾むボールから子ネコになる。「ほら、子ネコがベンチに跳び上がる」。ある時は、イヌにな る。「跳べ、ほら、イヌが垣根を跳び越える」。ある時は、ボールはヒヨコになって、「チョコ、チョコ、 チョコ、ヒヨコが走ってくる」。ある時は、オンドリになって、「コツ、コツ、コツ、オンドリが小麦を 食べている」。ある時は、樹の周りを廻りながら、樹の上によじ登ったり、降りたりする子リスになる。 あるいは、鉱夫になって、「鉱夫が坑内に深く入っていく」。あるいは、紐のついていないボールが、あ る時は、見張り番をしなければならないヒツジになったり、ある時は、ウマとか、はね回る子ウマになっ たり、「ワン、ワン、ワン」と吠えながら走ってくるイヌになったりする。しかし、ある時は、ボールは 再び紐をつけられて、車に(冬であれば、橇に)なって牽かれたり、たくさんの異なった事物になる』と いう記述に見られるように、身近な事物への見立てで「生活の形式」が構成されている。なぜ、「ボール」 が様々な事物の「イメージ」を反映できるのかについてフレーベルは、「自然現象での自然は一方では人 間に余りに近く、他方では余りにも遠い、だからこそ、自然理解には子どものために媒介する第3者の特 別なものを必要とし、いわば、第3者は万物の部分的全体としての子どもが自己の内に融合しているよう に、自然の部分的全体の各性質を自己の内に融合したもので、しかも、子どもと自然という両者のどちら にもないものです。これがボールです。媒介的な第3者は自然の1個の事物でもなく、子どもとか人間自 体にも存在できないのですから、一方では、(第3者が人間の本質を自己の内に有することを、いわば、 証明するために)必然的に第3者は人間的な精神の創作物であり、他方では、第3者は自然と自然の部分 的全体の各々を媒介することができなければなりませんから、第3者は自然の性質を自己の内に有してい なければなりません。ボールが自己の内に全体を宿すものとして現れ、と同時に、地球と地球の中心に向 かう努力をするものとして現れるから、第3者であるための条件を満たすものはボールなのです」と説明 している。人間の創造物であるゆえに、人間の「精神」が投影できる第3者の役割、本来、「自然」の世 界に存在しない究極形態であるゆえに、「自然」の性質を象徴できる第3者(自然と人間を仲介する)の 役割を「ボール」に求めているわけである。子どもには「共同感情」に基づく傾向があり、見えないもの を聴こうとし、聞こえないものを観ようとする子ども特有の傾向が、ロマンティーク哲学に通じるのでは なかろうか。子どもは「身体」で考えるゆえに、「直観」という能力が保持されており、物の本質を直観 的に見抜くことができるからこそ、「象徴」という感覚的言語が子どもには意味を持つと考えられるであ ろう。見立て活動とは「象徴」化された「イメージ」を投影することに他ならないから、「ボール」は最 も外界を投影しやすい媒体であるとも考えられる。私達大人が概念を操作して判断、推理するように、子 どもは外界の事物や事象を「象徴」化し、内界で「象徴」を操作して「直観」、「予感」に至る。「象徴 に基づく仲介過程」(der symbolische Prozes)こそフレーベルの「遊具」の特徴と考えられるであろう。 フレーベルは「ボール」が有する「象徴」について述べ、「私達の言語自体意味深い言語であるが、中で もボールという語は、既にボールという言葉そのものが意味深く、重要な意義を持っており、ボールの B=allは、万物のイメージ(ein Bild von All)であり、万物の1個のイメージであるということを暗示し ている」と説明している。すなわち、万物の「原型」(das Urbild)としての「イメージ」が「ボール」 に内在するので、全ての事物に見立てることが可能であると解釈している。「ボール」から全てを作り 出そうとする子どもの想像活動の要求に答えるだけでなく、万物の代表者として全ての万物に共通する 「合自然性」要素の「直観」へ導くという点が重要である。生きていない物にも生命を見、動きのないも のにも生命活動を見る「生活の形式」で生じる共通要素こそ生命であり、(die lebens Form)は生活と 訳すより、「生命の形式」と訳す方が適切ではなかろうか。


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